上級テーマ J

正解データで精度を測る

正解がわかっているテスト用のデータ(評価セット)を用意し、スキルやプロンプトを直すたびに、結果が正しいままかを確かめます。「なんとなく良くなった」ではなく、数字で精度を説明できるようにします。

要確認の箇所があります

  • ひな形の evals.json(Agent Skills のベストプラクティスで紹介されている形)が、skill-creator プラグインや claude plugin eval でそのまま使えるかは確認していません。このページでは、採点表を使って人が採点する方法を前提にしています

基本情報

経理にとっての価値
AIを使った処理の「精度」を、テストの結果として記録に残せます。スキルを直したときに、以前はできていたことができなくなっていないか(品質の後戻り)にも気づけます。
難しさの目安
スキルを作って使っている方向け。プログラムの知識は不要です
前提
  • スキル(Lv2)を1つ以上、自分で作ったり書き換えたりしていること
  • このサイトの練習データの「答え合わせ用ファイル」の使い方を知っていること
情報の時点
2026年10月時点(公式情報の確認日:2026年10月12日)

ひな形

このページで説明している設定やファイルの見本です。自社の環境に合わせて書き換えて使ってください。

  • 評価セットのひな形(keiri-evals.zip)zipファイル。R5 仕訳チェックのスキル用の問題集(evals.json)、採点表(CSV)、テスト用の仕訳データ3つが入っています。keiri-evals.zip をダウンロード

しくみ

Anthropic の公式ドキュメントでは、スキルを作るときは「評価(テスト)を先に作る」ことが勧められています。手順は次のとおりです。

  1. スキルなしでClaudeに頼み、うまくいかない点を見つける
  2. その点を確かめるテストを、3つ作る
  3. スキルなしでの結果を記録する(比べる基準にする)
  4. うまくいかない点を補う、最小限の指示をスキルに書く
  5. テストをやり直し、結果を見ながら直していく

Agent Skills のベストプラクティスでは、評価を自動で実行する仕組みは標準では用意されておらず、利用者が自分で評価の方法を作るものとされています。ただし Claude Code には、評価を手伝う skill-creator プラグインや、プラグインに入れたスキルを評価する claude plugin eval という命令があります(公式ドキュメントより)。これらは、それぞれ独自の形式の評価ファイルを使います。また、「評価は、スキルの効果を測るための、よりどころ(source of truth)」と説明されています。

経理の仕事には、もともと正解がはっきりしている作業が多くあります(照合の差異、税区分の判定など)。このサイトの練習データの「答え合わせ用ファイル」は、そのまま評価セットとして使えます。

評価セットの形

公式ドキュメントで紹介されている形にならい、ひな形の evals.json では、テストを次のように書いています(1つ目のテストの例)。

{
  "skills": ["shiwake-check"],
  "query": "test-files/r5_shiwake_202609.csv の仕訳をチェックしてください。",
  "files": ["test-files/r5_shiwake_202609.csv"],
  "expected_behavior": [
    "チェックした件数を30件と答える",
    "伝票0003・0004・0005・0007・0008・0014・0015・0017・0025の9件を「誤り」として指摘する",
    "伝票0016を「誤り」ではなく「要確認」として挙げる",
    "税区分の指摘ごとに、国税庁のタックスアンサーなど公式の根拠の名前を挙げる"
  ]
}
項目意味
skillsテストするスキルの名前
queryClaudeに頼む文章
files渡すファイル
expected_behavior期待される動き(合格の条件)。1つずつ○×をつける

ひな形の3つのテスト

テスト渡すデータ確かめること
T1 誤りを見つけられるかR5の仕訳30件(誤り9件・要確認1件)誤りをすべて見つけ、判断が必要なものを「要確認」に分けられるか
T2 誤りを作り出さないかすべて正しい仕訳8件正しい仕訳を「誤り」と言わないか
T3 決めつけないか判断に迷う仕訳3件(「お茶代」だけの摘要など)迷うものを「誤り」と断定せず、「要確認」にできるか

経理のチェックでは、誤りを見逃さないことと同じくらい、正しいものを誤りと言わないことが大切です。誤った指摘が多いと、確認の手間が増え、やがて指摘が信用されなくなるからです。T2・T3 は、そのためのテストです。

進め方

  1. ひな形(keiri-evals.zip)を展開します。
  2. R5 のスキル(shiwake-check)を登録した状態で、新しいチャットを始め、T1 の文章とファイルを渡します。
  3. 結果を「期待される動き」と見比べ、採点表(saiten_hyou.csv)に○×と気づいたことを書きます。
  4. T2・T3 も、それぞれ新しいチャットで同じように行います。
  5. スキルをオフにして同じテストを行い、スキルあり・なしの結果を比べます。公式ドキュメントでも、スキルがある場合とない場合を、それぞれ新しいセッションで比べる方法が案内されています。

採点表の記入例(架空の結果です):

テスト番号確かめること実行日スキルの版スキルあり/なし結果
T1誤り9件をすべて指摘する2026-10-121.0あり○
T2誤りを1件も指摘しない2026-10-121.0あり○
T3お茶代を「要確認」にする2026-10-121.0あり×

×がついたテストがあれば、スキルの指示を直し、すべてのテストをやり直します。この記録を続けると、「このスキルは、どのテストに合格した版か」を説明できるようになります。

必ず行う

自分で確かめること

仕組みを作ったら、本番で使う前に、次の点を自分で確かめてください。

  1. 評価セットの正解が、本当に正しいか

    評価セットの「期待される動き」は、人が作った正解です。税区分などの判断は、国税庁など公式の情報で確かめてから正解にします。正解が間違っていると、テストの意味がなくなります。

  2. 「見つけるべきもの」だけでなく、「見つけてはいけないもの」もテストしているか

    すべて正しいデータで誤りを作り出さないか、判断に迷うデータで決めつけないか、のテストも入れます。ひな形では、3つのテストをこの考え方で分けています。

  3. スキルを直すたびに、すべてのテストをやり直しているか

    1つの直しで、ほかのテストの結果が悪くなることがあります。採点表に日付とスキルの版を書き、毎回すべてのテストの結果を残します。

  4. 同じテストを何回か実行したか

    Claude の答えは、同じ質問でも毎回少し変わります。大事なテストは、2〜3回実行して、毎回合格するかを確かめます。

注意点

  • 評価セットに、実際の会社のデータを使わないでください。このサイトの練習データのように、架空のデータで作ります。
  • テストに合格しても、本番のデータで間違えないとは限りません。本番の結果は、これまでどおり各レシピの「自分で確かめること」で確かめます。
  • Claude Code の skill-creator プラグインを使うと、テストの実行と採点の一部を自動化できます(公式ドキュメントより)。ただし設定がやや技術的なので、まずは採点表を使った手作業の方法から始めるのがおすすめです。

このページに出てくる用語

確認した公式情報

このページの説明は、次の公式情報で確認しました。Claude の機能や制度は変わることがあるため、使う前に最新の情報を確認してください。

記事名URL確認日
Agent Skills のベストプラクティス(評価を先に作る)https://platform.claude.com/docs/en/agents-and-tools/agent-skills/best-practices2026年10月12日
Claude Code のスキル(スキルの評価と改善)https://code.claude.com/docs/en/skills2026年10月12日
プラグインの評価(claude plugin eval)https://code.claude.com/docs/en/plugin-evals2026年10月12日
成功の基準を決めて、評価を作る(Define success criteria and build evaluations)https://platform.claude.com/docs/en/test-and-evaluate/develop-tests2026年10月12日