レシピ R4

契約書から前払費用の按分表を作る

契約書や保険証券から契約期間・金額・支払日を読み取り、月別の費用計上額と期末の前払費用・長期前払費用を計算します。読み取った内容を先に確かめてから計算させるのがコツです。

要確認の箇所があります

次の点は、公式情報で確認できていません。実際の画面と違う場合があります。

  • 会計・税務の公式サイト(国税庁・企業会計基準委員会)は、作業環境から直接開けなかったため、公式サイトに絞った検索の結果で内容を確認しました。企業会計原則注解の正確な文言は、原文で確認してください
  • Claude Code でExcelファイル(.xlsx)を作れるかについて、公式ドキュメントに明確な記載が見つかりませんでした。Lv3では、Claude Code がExcelを作るプログラムを書いて処理する前提で説明しています

基本情報

業務領域
月次決算
所要時間の目安
Lv1は約15分、Lv2は登録に約20分、Lv3は準備に約30分
情報の時点
2026年10月時点(公式情報の確認日:2026年10月12日)

使う前と、使った後

使う前

契約書を1件ずつ読んで期間と金額を拾い、Excelで月割りの表を手で作る。契約が増えるたびに表が崩れる。

使った後

契約書から読み取った一覧と按分表が一度に出るので、読み取りの確認と計上の判断に集中できる。

練習データとひな形

練習データはすべて架空です。実在の会社・取引とは関係ありません。

Lv1 チャットで試す

契約書と保険の案内を添付して、プロンプトを貼ります。コツは、いきなり按分させず、まず読み取った内容を一覧で出させて確かめることです。

用意するもの

コピーして使えるプロンプト

あなたは経理担当者のアシスタントです。添付した契約書と保険料の案内から、前払費用の按分表を作ってください。
会社の会計期間は 2026年4月1日〜2027年3月31日(3月決算)です。

【手順】
1. まず、書類ごとに次の項目を読み取り、表にしてください。読み取れない項目は「要確認」と書いてください。
   契約名/相手先/契約期間(開始日・終了日)/月数/金額(税抜)/支払日/中途解約の扱い/根拠の条文・記載箇所
2. 次に、月割り(日割りはしない)で、契約の開始月から費用を按分し、2026年4月〜2027年3月の月別の表を作ってください。
   行:月、列:契約ごとの費用計上額と合計
3. 2027年3月31日時点の残高を、契約ごとに次の2つに分けて計算してください。
   ・前払費用(2027年4月1日から1年以内に費用になる分)
   ・長期前払費用(1年を超えて費用になる分)
4. 最後に、契約ごとに「当期の費用+期末残高=支払額」になっているかを確かめて書いてください。

【ルール】
・「消費税別」の契約は、税抜の金額で按分してください。保険料は支払額をそのまま按分してください。
・計算は正確に行い、金額は円単位・3桁カンマ区切りで書いてください。
・法人税の短期前払費用の取扱いは考えず、期間で按分した金額を出してください。

期待される出力の例

1. 読み取り結果

契約名契約期間月数金額(税抜)支払日中途解約根拠
ソフトウェア保守サービス2026/7/1〜2027/6/30121,200,0002026/6/30まで返金なし第2条・第3条・第4条
火災保険2026/4/1〜2029/4/136360,0002026/4/1未経過分を返還保険期間・保険料の欄

2. 月別按分表(2026年度)

計上月保守料保険料合計
2026年4月〜6月(各月)010,00010,000
2026年7月〜2027年3月(各月)100,00010,000110,000
2026年度 合計900,000120,0001,020,000

3. 2027年3月31日の残高

区分保守料保険料合計
前払費用(1年以内)300,000120,000420,000
長期前払費用(1年超)0120,000120,000

4. 確認:保守料 900,000+300,000=1,200,000、保険料 120,000+120,000+120,000=360,000。どちらも支払額と一致。

実際の出力では、按分表は12か月分が1行ずつ並びます。上の例は、読みやすいように同じ金額の月をまとめています。

Lv2 プロジェクト・スキルで定型化

会計期間・按分の方法・税抜で按分するかどうかは、会社ごとに決まっています。毎回プロンプトに書かずに済むよう、ルールを登録します。

方法A:プロジェクトに登録する

  1. 「+ 新規プロジェクト」から、プロジェクトを作ります(名前の例:「前払費用の管理」)。
  2. プロジェクトナレッジに、今ある前払費用の一覧(契約名・期間・金額)を追加しておくと、新しい契約を足すたびに一覧全体を作り直せます。
  3. 「プロジェクト指示を設定」から、下の文章を貼り付けて保存します。
このプロジェクトでは、契約書・保険証券などから前払費用の按分表を作ります。

・会計期間は4月1日〜翌年3月31日です。
・月割り(日割りはしない)で、契約期間の開始月から按分します。
・「消費税別」の契約は税抜の金額、非課税のものは支払額で按分します。
・まず書類ごとに、契約名/相手先/契約期間/月数/金額(税抜)/支払日/中途解約の扱い/根拠の箇所を一覧にし、利用者の確認を受けてから按分してください。
・期末の残高は、前払費用(期末日の翌日から1年以内)と長期前払費用(1年超)に分けてください。
・最後に、契約ごとに「当期の費用+期末残高=支払額」を確かめてください。
・法人税の短期前払費用の取扱いを使うかどうかは判断せず、期間で按分した金額を出してください。

方法B:スキルとして登録する

  1. スキルのひな形 maebarai-anbun.zip をダウンロードします。
  2. 中の SKILL.md の「前提(自社に合わせて書き換える)」を、自社の会計期間・按分の方法に書き換え、zip にまとめ直します。
  3. スキルを管理する場所で「+」→「+ スキルを作成」→「スキルをアップロード」の順に選び、アップロードします(詳しくは R1のLv2 を参照)。

参考:Anthropic 公式の finance プラグインにも、前払費用の償却などの仕訳を準備するコマンド(/journal-entry prepaid)があります。米国の実務が前提なので、日本の会社で使うときの注意は「公式の経理向けツール」を見てください。

Lv3 Claude Codeで自動化

契約書のPDFをフォルダに入れていくだけで、按分表(Excel)がいつも最新になるようにします。Claude Code はPDFをそのまま読めます(10ページを超えるPDFは何回かに分けて読みますが、そのためにはパソコンに「poppler」(pdftoppm)という道具が入っている必要があります。公式ドキュメントより)。

フォルダ構成の例

前払費用/
├── CLAUDE.md                … 会計期間・按分のルール
├── 契約書/
│   ├── r4_keiyaku_hoshu.txt   (PDFでも可)
│   └── r4_hoken_annai.txt
└── output/                  … 結果の出力先

Claude Codeへの指示文の例

契約書/ フォルダのすべての書類から、CLAUDE.md のルールに従って前払費用の按分表を作ってください。
対象は 2026年度(2026年4月〜2027年3月)です。

まず、書類ごとの読み取り結果の一覧を見せてください。私が確認してから、次のファイルを output/ に作ってください。
1. maebarai_2026.xlsx:シート「読み取り結果」「月別按分表」「期末残高」
2. kiroku_2026.md:読み取りの根拠(書類名と条文)、確認用の計算(当期の費用+期末残高=支払額)
3. 計算に使ったプログラム

契約書/ のファイルは書き換えないでください。

指示文の「私が確認してから」のように、途中で止まって確認させるのがポイントです。読み取りの誤りに、計算の前に気づけます。

出力されるファイルの例

output/
├── maebarai_2026.xlsx   … 読み取り結果・月別按分表・期末残高
├── kiroku_2026.md       … 読み取りの根拠と確認用の計算
└── anbun.py             … 計算に使ったプログラム(名前は変わることがあります)

新しい契約が増えたら、契約書を 契約書/ に追加して、同じ指示文をもう一度実行します。kiroku_2026.md に根拠の条文が残るので、監査で「この金額の根拠は」と聞かれたときにも答えられます。

どのレベルでも必ず行う

自分で確かめること

Claudeの出力は、そのまま使わないでください。経理の担当者として、次の点を自分の目で確かめてから使います。

  1. 読み取った契約期間・金額・支払日が、契約書と一致しているか

    Claudeが作った「読み取り結果の一覧」を、契約書の該当する条文(保守契約は第2条・第3条)と1項目ずつ見比べます。特に、税抜か税込か、何年分かを確かめます。

  2. 月数と月額が正しいか

    保守契約は12か月・月額100,000円(税抜)、保険は36か月・月額10,000円です。「金額 ÷ 月数」を自分で計算し直します。

  3. 当期の費用と期末残高を足すと、支払額になるか

    保守契約は「当期の費用900,000円+期末の前払費用300,000円=1,200,000円」、保険は「120,000円+前払費用120,000円+長期前払費用120,000円=360,000円」になるかを確かめます。

  4. 前払費用と長期前払費用の分け方が正しいか

    期末日(2027年3月31日)の翌日から1年以内に費用になる分が前払費用、1年を超える分が長期前払費用です。保険の2028年4月以降の分(120,000円)が長期前払費用になっているかを見ます。

  5. 計上を始める月が正しいか

    保守契約の開始は2026年7月です。支払日(6月30日)の月から計上していたら誤りです。

  6. 中途解約の条件を確かめたか

    保守契約は「解約しても返金しない」、保険は「未経過分を返還する」と書かれています。返金されない前払いの扱いは、会社の方針や監査人と確認します。

注意点

入力してはいけない情報

  • 会社の規程やルールで入力が認められていない情報(まず社内のAI利用ルールを確認してください)
  • 契約で第三者への開示が禁じられている契約書。必要なら、相手先の名前や金額以外の条項を伏せてから使います
  • 契約書に書かれた個人の氏名・住所・印影など

チームプランでは、初期設定のままなら、入力した内容がAIの学習に使われることはないとされています(自分で許可した場合や、フィードバックを送った場合を除く。Anthropic の商用利用規約・公式ヘルプより)。それでも、会社のルールで認められた情報だけを入力してください。

よくある失敗

  • 税込の金額で按分してしまう
    保守料のように「消費税別」と書かれた契約では、税抜の金額で按分するのか、会社のルールを先に決めてプロンプトに書きます。
  • 支払日の月から計上してしまう
    費用は「役務の提供を受ける期間」で按分します。契約期間の開始月をはっきり指定します。
  • 長期前払費用を分け忘れる
    1年を超える契約では、期末に「1年以内」と「1年超」に分けることをプロンプトで指定します。
  • 税務上の扱いと混同する
    法人税には、一定の要件のもとで1年以内の前払費用を支払時の損金にできる「短期前払費用」の取扱いがあります(法人税基本通達2-2-14)。このレシピは、期間で按分する会計上の計算を前提にしています。どちらを使うかは会社の判断で、Claudeに決めさせないようにします。

確認した公式情報

このページの説明は、次の公式情報で確認しました。法令や会計・税務の制度も、改正されることがあります。Claude の機能や制度は変わることがあるため、使う前に最新の情報を確認してください。

記事名URL確認日
Anthropic 商用利用規約(顧客のデータで学習しないこと:注意点の欄の根拠)https://www.anthropic.com/legal/commercial-terms2026年10月12日
企業会計基準委員会「中小企業の会計に関する指針」(長期前払費用の表示)https://www.asb-j.jp/jp/wp-content/uploads/sites/4/sme20181030_03.pdf2026年10月12日
企業会計基準委員会「会計基準詳細」(企業会計原則注解:前払費用の定義・表示)https://www.asb-j.jp/jp/accounting_standards_system/details.html?topics_id=812026年10月12日
国税庁 No.5380 短期前払費用として損金算入ができる場合https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5380.htm2026年10月12日
国税庁 法人税基本通達 2-2-14(短期の前払費用)https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/02/02_02_02.htm2026年10月12日
Upload files to Claude(PDFのアップロード)https://support.claude.com/en/articles/8241126-upload-files-to-claude2026年10月12日
Claude Code のツール一覧(PDFの読み込み)https://code.claude.com/docs/en/tools-reference2026年10月12日
Claudeでスキルを使用する(日本語版)https://support.claude.com/ja/articles/125121802026年10月12日